CloudBees社CEO Sacha Laboureyが答える継続的デリバリーまるごと Q&A


1.継続的デリバリー戦略を導入するメリットは何ですか?

CD戦略を実行することの主な利点は、ITをビジネスにもっと近づけることです。多くの場合、IT部門は依然としてビジネスの遠隔実行部隊とみなされています。ビジネス要求は、IT部門に「伝達」され、IT部門はそれを解釈して実装し、後でその結果をビジネス部門に戻します。これはまったく非効率的なやり方です。今日では、あらゆるものがソフトウェアです。ソフトウェアは顧客、パートナー、ベンダーと双方向に関わるための手段であり、企業の差別化の大部分はソフトウェアの領域で行われます。継続的デリバリーは、ビジネス部門からIT 運用チーム、開発、QAなど、すべてのステークホルダーを巻き込むことによって、ビジネス価値がソフトウェアに継続的に変換されることを保証します。

2. CDの導入を成功させるためにチームが従うべき原則は何ですか?

まず第一に、チームは横断的でなければなりません。「私たち対彼ら」という考え方から抜け出せないかぎり、CD戦略は成功しません。プロジェクトチームは価値創造に関わるすべてのステークホルダーから構成されます。これは企業の典型的な組織編成、つまり縦割りの構造とは根本的にかけ離れています。次に、価値の創造は、場合によっては1日という短いイテレーションでも可能でなければなりません。これは、ソースコードの変更から本番での運用に移行するために使用されるパイプラインは、完全に自動化されている必要があることを意味します。イテレーションの限界コストがゼロに近い場合にしか、イテレーションをすばやく実行できません。また、提供しているものが期待された価値を実際に提供しているかどうかを測定できる必要があります。最後に、けっしてCDの方程式からビジネスを削除してはいけません。ビジネスを組み込んでいないCD戦略はCD戦略ではありません。「IT内からIT内への」フィードバックループは、CD戦略ではなくビジネス自閉症戦略です。

3. これらの原則を実践する際に予想される障害は何ですか?

技術的には、自動化された「パイプライン」が本当の意味でコードから運用までIT資産を運ぶことができる完全自動化環境に移行するには、時間がかかります。素晴らしいツールやベストプラクティスはたくさんありますが、企業は本質的にそれぞれ独自の方法を定義する必要があり、それには時間とスマートなエンジニアリングが必要です。興味深いことに、最大の障害は技術的なものではなく、むしろ「政治的」なものです。サイロ化された縦割りの組織から横断的なチームに移行するには、かなりの「脳の再配線」が必要です。なかには、自分の習慣や権威が脅かされると考える人もいるかもしれません。けれど、エリック・シンセキ大将はこう言いました――「あなたが変化を好まないとしても、時代遅れになるのはもっと好まないだろう」。

4. 継続的デリバリーとアジャイル手法はどう異なるのですか?

これは、継続的デリバリーの哲学がアジャイル手法と多くを共有し、アジャイルが継続的デリバリー戦略の方法論として非常に頻繁に使用されるため、たしかに紛らわしいかもしれません。CDは、ビジネスがどのように継続的に価値を提供できるか、ビジネスを含むフィードバックループをどのように構築するかを定義します。いっぽう、アジャイルはその価値をどのように構築するかを定義します。しかし、究極的には、CDを実行しなくてもアジャイルであることはできる、またその逆も同様であると考えられます。

5. デリバリー戦略に最も効果的なツールをどのように選べばよいですか?

CD戦略を採用している大部分の企業は既にIT資産を多く持っており、「まっさらな状態」ではありません。そのため、ビルドツール、テストツール、デプロイメントツール、データベースなど、多くの既存ツールが混在するパイプラインを自動化する必要があります。そのため、おそらく全体的なCDパイプラインの構築に使用するツールの最も重要な側面の1つは、非常に幅広い種類のツールをプラグインする能力にあり、また独自のカスタム統合をオープンな形で簡単に実装できることにあるでしょう。これはおそらく、Jenkinsが世界中の何千もの組織のCIやCDに人気がある主要な理由です。

6. どうすればテストはソフトウェア デリバリーの速度に追いつくことができますか?

これは間違いなく大きな課題であり、今、多くの革新が起こっています。多くの企業は段階を踏んで、最初に時間と資源の両方が「安い」テストを行い、だんだんと複雑さを増して、最終的には(時間と金額の面で)最もコストのかかる手動テストを含めるようになるでしょう。テストベンダーの中には、2つのリリース間のデルタを可能な限り抽出し、それらの違いだけをテストすることを可能にするかなり洗練されたツールを提供するものもあります。

7. 継続的デリバリーに関して注意するべき重要な点は何ですか?組織は何に焦点を当てるべきですか?

おそらく最も重要なのは、CDはツールではなく、製品でもなく、ビジョンでもないと認識することです。それは選択でもありません。CDは、ソフトウェアが世界を侵食しており、ソフトウェアでビジネスを差別化する方法を根本的に変えなければ、競争力を維持できないという事実を、企業がどのように認識するのかという方法です。多くの人々は、CDの技術的側面や、CDへの到達方法に焦って飛びつこうとしますが、ITとビジネスの両方が経験しつつあるこの深遠な革命の意義を十分に理解する時間を取ろうとはしない傾向があります。

 

Sacha Labourey
CloudBees
CEO兼創業者