Jenkins、Continuous Delivery Foundation で「グラデュエート」ステータスに


※ この記事はJenkins Community Blog 2020年8月4日 Oleg Nenashev投稿の記事「Jenkins graduates in the Continuous Delivery Foundation」(CC BY-SA 4.0)の翻訳です。

JenkinsプロジェクトがContinuous Delivery Foundation (CDF)グラデュエートステータスを達成したことをお知らせいたします。このステータスは、2020年8月3日から正式に有効です。JenkinsはCD Foundationでグラデュエートを達成した初めてのプロジェクトです。グラデュエートを可能にしたすべてのコントリビューターに感謝します。

この記事では、CD Foundationへの加盟とグラデュエートがJenkinsコミュニティにとってどんな意味を持つのかを説明します。また、グラデュエートの一環としてJenkinsで何が変わったか、プロジェクトの今後についても説明します。

Jenkinsのグラデュエートについての詳細はCD Foundationの発表を参照してください。また、Jenkinsの事例やサプライズコンテンツを特集したCD Foundation Newsletterの特別号もご覧ください。プレスリリースはこちらです。

CDF加盟のメリット

約1年半前、JenkinsはJenkins X、Spinnaker、TektonとともにCDFの設立プロジェクトの1つとなりました。新しいファウンデーションは、継続的デリバリーおよび継続的インテグレーションに利用されるオープンソースプロジェクトのためのベンダーに依存しない活動拠点として設立されました。プロジェクトやエンドユーザー間のコラボレーションを促進するため、SIG(Special Interest Group)が発足しました。主だったものを挙げると、InteroperabilityMLOpsSecurityなどのSIGがあります。また、地域でミートアップを主催し、対外的なコミュニティを代表するコミュニティアンバサダーの役割が設けられました。それまでのJenkinsアンバサダーの多くや他のコントリビューターが、現在はCDFアンバサダーとしてJenkinsや他のプロジェクトを推進しています。

CDFに加盟したおかげで、Jenkinsプロジェクトは重要なプロジェクトインフラストラクチャのニーズに対処できるようになりました。2020年1月以降、JenkinsプロジェクトのサービスやMicrosoft Azureで実行されているCI/CDインスタンスを含めたインフラコストの相当な部分をCDFが負担しています。CD Foundationは、Jenkinsプロジェクト用のコード署名鍵を取得するのに必要な法的援助も提供しました。そのおかげで、新しいJenkins リリース インフラストラクチャに移行できました。また、ファウンデーションはJenkins オンライン ミートアップおよびコミュニティのミーティングで使用するZoomアカウントの費用を負担しています。今後も、自前でホストしているサービスの一部をLinux FoundationがCDFのメンバーに提供しているサービスに移行することで、メンテナンスのコストを削減する方法を検討していきます。

CDFに加盟する利点としてもう1つ重要なのが、コミュニティのアウトリーチおよびマーケティングです。これによって、他のCI/CDプロジェクトやエンドユーザー企業とつながることができます。ファウンデーションを通じて、コミュニティのコントリビューション統計を提供するDevStats サービスにアクセスし、傾向を追跡するとともに改善可能な領域を発見するのに役立てられます。マーケティングという面では、ファウンデーションはウェビナー、ポッドキャスト、ニュースレター等を企画・開催しており、Jenkinsも定期的に登場します。CD Foundationはmeetup.comのプロフェッショナルアカウントも有しており、これを利用して各地のJenkinsコミュニティがCI/CDおよびJenkinsの地域ミートアップを運営しています。最後に重要な点として、JenkinsコミュニティはCDFが出展するバーチャルカンファレンスにも参加しています。これらすべて、Jenkinsの露出を高め、新機能やプロジェクトのイニシアチブを紹介するのに役立っています。

グラデュエートの理由

Jenkinsプロジェクトには、オープンガバナンスを長く続けてきた歴史があり、それが現在の成功の一因にもなっています。2011年から、プロジェクトは誰にでも開かれたガバナンスミーテイングを採用しています。議論や決定の大部分は、メーリングリストにおいて公開で行われます。2015年には、チーム、サブプロジェクト、そしてオフィサーの役職が導入されました。2017年には、Jenkins Enhancement Proposalプロセスが導入されました。これは、主要なアーキテクチャやガバナンスの決定をよりオープンかつコミュニティやJenkinsユーザーにとって透明性の高いものにするのに役立ちました。2018年には、コミュニティのニーズにフォーカスしたSIGが発足しました。 2019年には、Jenkinsガバナンス委員会が拡張され、より幅広くプロジェクト内のイニシアチブを推進できるようになりました。

15年前の発足から、Jenkinsプロジェクトは着実に成長を続けてきました。今では何百万というユーザーと何千人というコントリビューターがいます。2019年には、111か国の272の企業から5,433 人のコントリビューター、67のコアのリリースと2,654のプラグインのリリース、 45,484回のコミット、7,000個以上のプルリクエストを記録しました。2020 Q2のボットを除いたプルリクエスト数は、2019 Q2と比較して21% 増加しました。

Jenkinsプロジェクトは成功に必要なあらゆる要素を備えていると言っても過言ではありません。これは多数のコミュニティメンバーの継続的な作業の結果であり、プロジェクトがアクティブであり続けるかぎり、作業が終わることはありません。他の分野と同様に、CI/CDエコシステムも日々変化しており、ドメインの自動化ツールからも新しい期待が寄せられます。ツールが進化するのと同様に、オープンソースコミュニティも期待に応え、より多くのユーザーとコントリビューターがスムーズに参加できるよう、進化する必要があります。CDFのグラデュエートプロセスは、改善の機会を発見し、対処するのに役立ちました。プロジェクトのプロセスをレビューし、CDF プロジェクト サイクルに定義されているGraduated Projectの条件との比較を行いました。このレビューに基づいて、プロジェクトのプロセスとドキュメントを変更しました。変更によってJenkinsユーザーのエクスペリエンスが向上し、既存のコントリビューターにとっても新しく参加する人にとっても、Jenkinsコミュニティがより参加しやすいものになったはずです。

プロジェクトの何が変わったか

グラデュエートプロセスにおいて行った主な変更は以下のとおりです。

公開ロードマップ

新たにJenkinsプロジェクトの公開ロードマップを導入しました。このロードマップは、インフラ、ドキュメント、コミュニティなど、コミュニティのすべての活動領域での主要なイニシアチブを集約したものです。すべてのJenkinsユーザーおよび導入企業にとってプロジェクトの透明性が増し、コントリビューターになろうとする人が活発な領域や貢献の機会を見つけやすくなります。ロードマップはJenkinsコミュニティによって管理されており、JEP-14に文書化されているとおり完全に公開されたプロセスに従います。

公開ロードマップについては、来週さらに詳しく説明する予定です。ブログ記事をお待ちください。7月10日、ロードマップに関するオンラインのコントリビューターミートアップが開かれました。ミートアップの資料に詳しい情報があります(スライド記録動画)。

ユーザードキュメント
  • Jenkins Weekly ReleaseラインがWebサイト上でドキュメント化されました(こちら)。また、ダウンロードページを手直しし、ダウンロードを検証する方法を説明したガイドラインを追加しました。
  • 新たにJenkins導入企業リストがjenkins.ioに追加されました。このリストは、Jenkinsユーザーにスポットを当て、Jenkins Is The Wayポータルを通じて投稿されたものを含めたユーザー事例やサクセスストーリーへの参照を記載しています。どうぞあなたの企業もここに追加してください!
コミュニティ
  • JenkinsプロジェクトはCore Infrastructure Initiative (CII)認証に合格しました。この認証は、プロジェクトがオープンソースのベストプラクティスに準拠しているかを検証し、調整を行うのに役立ちます(以下の項目を参照してください)。また、Jenkinsユーザーおよび導入企業に各ベストプラクティスへの準拠に関する概要を提供します。詳細はJenkins コアのページを参照してください。
  • コントリビューター誓約の新しいバージョンに合わせてJenkins行動規範がアップデートされました。特に、コミュニティでのふるまいのベストプラクティスを設定し、受け入れられないふるまいの定義が拡張されました。
  • デフォルトのJenkins コントリビュートテンプレートがアップデートされ、プラグインのコントリビューターにとってよくあるケースのカバー範囲が広がりました。このページにはJenkinsのWebサイト上のParticipate and Contributeガイドラインへのリンクがあり、コントリビューターになろうとする人がドキュメントに簡単にアクセスできるようになっています。
  • Jenkins Core メンテナーガイドがアップデートされ、メンテナンスガイドラインおよび課題の優先順位付けガイドラインが含まれるようになりました。品質の高いリリースをデリバリーし、Jenkinsユーザーによってレポートされた問題にすばやく優先順位をつけて対処するのに役立つはずです。

次のステップ

Continuous Delivery Foundationで最初にグラデュエートステージに到達したプロジェクトになったのは名誉なことですが、大きな責任も伴います。プロジェクトとして、CDFのアクティビティへの参加を続け、他のプロジェクトやエンドユーザーと協働してCI/CD分野のリーダーとしてのJenkinsの役割を維持し続ける予定です。

プロジェクトに加わり、Jenkinsプロジェクトを発展させ、ロードマップを進むのに手を貸してください。といっても、コードやドキュメントのパッチをコミットすることだけが方法ではありません。ユーザーからのフィードバックもプロジェクトにとって重要です。コントリビュートやフィードバックの共有に興味があれば、Jenkinsコミュニティチャネル(メーリングリストチャット)でご連絡ください。

謝辞

CDFのグラデュエートは、Jenkinsコミュニティの多大な尽力によって成し遂げられました。グラデュエートを可能にした多数のコントリビューターにお祝いと感謝を述べたいと思います。Alex EarlAlyssa TongDan LorencDaniel BeckJeff ThompsonMarky JacksonMark WaiteOlivier VerninTim JacombTracy MirandaUllrich HafnerWadeck Follonier、その他レビューを支援しフィードバックを寄せてくれたすべてのコントリビューターに感謝します。

また、Jenkinsプロジェクト、特にグラデュエートのプロモーションを行ってくれたContinuous Delivery Foundationのマーケティングチーム (Jacqueline Salinas、Jesse Casman および Roxanne Joncas)に感謝します。

Continuous Delivery Foundationについて

Continuous Delivery Foundation (CDF)は、Jenkins、Jenkins X、Tekton、 Spinnakerをはじめ、継続的デリバリー分野で急速に成長するプロジェクトのベンダーに依存しない活動拠点の役割を果たしているほか、業界のトップ開発者、エンドユーザー、ベンダーの間のコラボレーションを促進し、継続的デリバリーのベストプラクティスを推進します。CDFはLinux Foundationの一部である非営利組織です。ファウンデーションの詳細についてはWebサイトをご覧ください。

参考情報

Continuous Delivery FoundationでのJenkinsのグラデュエートについて詳しくは、CD Foundation Webサイトの発表を参照してください。また、Jenkinsの事例やサプライズコンテンツを特集したCD Foundation Newsletterの特別号もご覧ください。プレスリリースはこちらです。

著者について

Jenkinsコアのメンテナーで委員会メンバー。Olegは2008年、ハードウェア/組み込みプロジェクトでHudsonの利用を始め、2012年にJenkinsのアクティブなコントリビューターになりました。現在では、いくつかのJenkins SIGやアウトリーチプログラム(Google Summer of CodeHacktoberfest)、スイスおよびロシアのJenkins ミートアップを主導しています。OlegはCloudBeesで働き、コミュニティの重要なプロジェクトに注力しています。