DevOps Survey Results:企業が継続的デリバリーを採用する理由


(この記事は、CloudBees社 Blog 「DevOps Survey Results: Why Enterprises Are Embracing Continuous Delivery」2017年12月1日 Heidi Gilmore 投稿の翻訳記事です。)

CloudBeesはHurwitz and Associatesと共同で、テクノロジー、製造、金融サービス、教育、医療、小売などを含む幅広い業界のIT意思決定者150人を対象とする調査を実施しました。 57%の回答者が従業員数1,000〜5,000人以上の組織に属し、36%が100〜999人の組織に所属していました。回答者の大半は、DevOps担当役員、CEO、業務執行担当VP、開発担当VP、CIO、CTOなどの上級管理職でした。残りの回答者は、開発、ツール、エンジニアリングなどさまざまな分野の管理職でした。すべての回答者が、組織内でオープンソースソフトウェアを使用していると回答しています。挙げられている一般的なオープンソースツールには、Jenkins、Docker、BuildBot、Puppet、Chef、Fabric8 があります。ほとんどの場合、回答者はエンタープライズサポート版のオープンソーステクノロジを使用していると回答しました。50%以上が継続的インテグレーションを全社的に採用しており、ほぼ半数が継続的デプロイメントプロセスを採用していました。

この調査結果から、3 つの重要なメッセージが読み取れました。それらの3つのトピックに関して、全3回の記事でご紹介していきます。本記事はその第1回目となります。

  1. 企業が継続的デリバリーを採用する理由(当記事)
  2. 継続的デリバリーツールの標準化を推進する根拠
  3. 企業がオープンソースソフトウェアのサポートを求める理由

どうぞこのシリーズをお楽しみください!

企業が継続的デリバリーを採用する理由

モバイルデバイスやウェブベースのサービスは、頻繁に更新することができる新世代のアプリケーションを登場させました。これらのアプリケーションは、ユーザーのフィードバックに基づき新しい機能を追加し、絶え間なく改善されます。従来のアプリケーションでは、更新は四半期ごとなどでしたが、新しい動的アプリケーションは週に数回以上も更新される場合があります。実際、ユーザーは定期的なアプリの改善を期待しています。

アプリケーションが頻繁に更新されるということは、ソフトウェアのビルドやデリバリーの方法を変える必要があるということです。従来型の開発チームやデプロイメントチームは、多数のコード変更が溜まるのを待ってから、定期的なビルドに更新を組み込みます。顧客とビジネスの要求を満たさなければならないというプレッシャーが高まっている今日、開発者はアプリケーションを動的に更新する必要があります。継続的にアプリケーションを改善し機能を追加するという課題に対処するため、多くの組織は、新しい機能が定期的に展開される継続的デリバリー手法を実践しています。

継続的デリバリーとは

継続的デリバリーとは、テスト済みのセキュアなコードを常に運用可能な状態で継続的にデリバリーできるようにするプロセスです。継続的デリバリーを実現するために、アプリケーション開発チームは自動化を取り入れ、ミスを減らしながらより迅速に更新をデリバリーします。新しい機能や更新が完成すると、コードはすぐにテスト環境、プレステージング環境、または実運用環境にもデプロイできるようになります。継続的デリバリーモデルを採用した場合、ソフトウェアの変更が発生するたびに、運用可能な状態かどうかが継続的にテストされ、自動的にフィードバックを得られます。

継続的デリバリーを実現するための第一歩は、継続的インテグレーションです。継続的インテグレーションとは、開発者がコードを共有リポジトリに自動的に統合することです。開発者がコードをチェックインすると、自動ビルドとテストプロセスによってコードが検証されます。継続的デリバリーは、この自動化を開発チームだけでなくアプリケーション デリバリー ライフサイクル全体に拡張したものです。

Hurwitz&Associatesの最近の調査と継続的デリバリー

Hurwitz&Associatesは近頃、CloudBeesの後援により、150人のIT意思決定者を対象とした調査を行いました。回答者は、主に組織の開発部門で多種多様な役職に就いています。回答者の約14%がDevOps担当役員であり、他は業務執行担当VP、アプリケーションエンジニア/マネージャー、その他のIT部門の管理職であると回答しました。中小企業では、CEO、CIO、CTOがこの調査に参加しました。

この調査では、回答者の77%以上が、企業全体または事業部単位で継続的デリバリーを実践していると報告しました。アンケート調査の回答者には、継続的デリバリーを採用する要因になった主な課題について回答を求めました。開発プロセスを継続的デリバリーモデルに変更する際に大きな要因となったのは、製品やサービスの改善と競争力の維持だったことが分かりました。下の図は、その結果を示しています。

図1:継続的デリバリーの導入につながった課題

  • 回答者の45%以上が、製品とサービスの機能を改善すること継続的デリバリー採用の動機であると答えています。 この結果は、Hurwitz&AssociatesがITリーダーを対象に行ったインタビューの結果とも一致しています。継続的デリバリーにより、開発組織は、大幅なオーバーホールや更新を行う代わりに、反復的に製品やサービスを改善することができます。
  • 回答者の42%以上が、競争力を維持することが継続的デリバリー採用の動機であると答えています。競合他社はサービスを提供する新しい方法をつぎつぎと編み出しているため、ビジネスは迅速に適応できなければならず、さもなければ市場シェアを失うリスクがあります。継続的デリバリーは、組織がこれらの競争上のリスクに迅速に対応する方法を提供します。
  • 回答者の約3分の1(32%)は、顧客の期待に応えることが継続的デリバリー採用の最大の動機であると答えています。企業ユーザーも個人ユーザーも、継続的なアプリケーションの改善を期待しています。継続的な改善に対するこの期待は、クラウドベースのアプリケーションやWebアプリケーションでは特に高くなっています。

調査の参加者には、継続的デリバリーを採用したことによる影響についても訊ねました。調査結果からは、回答者の大多数(81%)が、顧客に価値を提供し、ビジネス目標を達成するために継続的デリバリーが役立っていると感じていることが分かります。調査参加者の約44%は、継続的デリバリーを採用した後、顧客に価値を提供し、ビジネス目標の達成能力が大幅に改善したと報告しました。最後に、150人の調査参加者のうち、継続的デリバリーを採用した後に、ビジネス目標を達成する能力が低下したと答えた人はいません。

図2:継続的デリバリーが組織の能力へ与える影響

結論

IT組織は、イノベーションを生み出し、競争に勝ち、ユーザーの期待に応えるために、アプリケーション デリバリーのスピードを上げる必要があります。他の選択肢はありません。従来のアプリケーション開発手法では、加速するビジネスの変化に対応できません。したがって、多くの組織では、より迅速な開発プロセスを構築するために継続的デリバリーを採用しています。CloudBeesが主催した調査では、継続的デリバリーを採用した組織は、顧客価値とビジネス目標を達成する上で大きな成功を収めています。