ソフトウェアデリバリー管理(SDM)が勝敗を左右する


今年4月、ソフトウェアデリバリー管理(Software Delivery Management- SDM)という新しい市場カテゴリの概念と、その4本の柱が初めて紹介された後、この8月にはCloudBees社がCloudBees solution for SDMを発表し、ソフトウェアデリバリー管理市場に参入しました。

ソフトウェアデリバリー管理とは

ソフトウェアデリバリー管理(Software Delivery Management- SDM)は、ソフトウェアの開発とデリバリーに関わる全員、つまり開発者からエンジニアリングマネージャー、製品マネージャー、マーケティング担当者、サポートおよびビジネスエグゼクティブまでのあらゆるメンバーが、製品や機能がバリューデリバリープロセスのどの段階にあるかだけでなく、ソフトウェアがどれほど価値を生み出しているかを容易に把握できるようにします。これは、単に継続的インテグレーション/継続的デリバリー(CI / CD)プロセスを拡張するだけでなく、コラボレーションと情報共有というDevOpsの哲学を企業全体に拡張することを意味します。

CI / CDの限界

Facebook、Netflix、Amazon、Googleなどのデジタルネイティブ企業や、動きの速い新興企業の多くは、継続的インテグレーション/デリバリー/デプロイメント(CI / CD)プラクティスをいち早く取り入れ、アジャイルおよびDevOpsを産業化することで、新規リリースを従来の数千倍の頻度で顧客にデリバリーすると同時に、より高い品質、少ない欠陥、復旧時間の短縮を実現しました。しかし、これらのプラクティスを通じてより速くより良いソフトウェアを達成した変革者たちは、他の問題に気づき始めています。

CI / CDは、ソフトウェアライフサイクルのうち、ソフトウェアエンジニアリング部門の内部で起こる部分だけを統合します。つまり、バグまたはフィーチャーチケットで始まり、デプロイメントで終わります。しかし、開発者、エンジニアリングマネージャー、運用担当、その他の関係者と話をしてみると、それだけでは十分でないことがわかります。

エンジニアリングマネージャーは、SDLC全体から製品とフィーチャーの開発活動についてのデータを収集して全体像を把握するのに苦労しています。さまざまなチームで何十というツールを使っていると想像してみてください。もちろん、どのツールも何ひとつ共有していません――サイロ化され、孤立しています。数も複雑さも増すいっぽうの開発ツールチェーンから手動でデータを収集する必要があるのです。 また開発者は、現実的なビジネスや顧客のニーズも、製品の利用状況も把握できません。これでは、より速くデリバリーできているとしても、ビジネス目標に合ったものをデリバリーできていると言えるでしょうか?CI / CDは、より良いソフトウェアをより速く提供するのに役立ちますが、「適切なもの」がデリバリーされているか、あるいはビジネスのニーズが満たされていかについては保証しません。

そこで、デリバリーの速度を実現するCI / CDおよびDevOpsに加えて、ソフトウェア組織全体を通じた価値のデリバリーに重点を置くSDMが必要になります。DevOpsが開発チームと運用チームの間の壁を壊したように、SDMは開発者、製品管理、UIXチーム、ドキュメントチーム、サポート、製品マーケティング担当者の間の壁を壊します。SDMはコミュニケーションを改善し、最終的には、バグがないだけでなくビジネスニーズに的確に対応し、顧客にとって価値の高いソフトウェアのデリバリーに役立ちます。

SDMの4本の柱

SDMは、次の4本の柱により、ソフトウェア組織全体を通じた価値のデリバリーを実現します。

  • 共通データ(COMMON DATA)  一貫したドメインモデルに従ってソフトウェアデリバリーアクティビティに関わるすべての情報をキャプチャし、保存します。これにより、プロセスの接続、洞察の共有、およびコラボレーションを促進します。
  • 普遍的な洞察(UNIVERSAL INSIGHTS)―可視性と洞察により、組織内のすべての職能にわたって、端から端まで、また上から下まで漏れなく集められたデータから共通の理解と継続的な学習を可能にします。
  • 共通の接続されたプロセス(COMMON CONNECTED PROCESSES)―プロセスは、ソフトウェアデリバリーのバリューストリーム全体を調整し、異なる職務分野を接続し、アイデアを効率的に市場に投入して最大の価値と利用を実現します。
  • すべての職能のコラボレーション(ALL FUNCTIONS COLLABORATING)―そして最後に、ソフトウェアデリバリー内外のすべての職能とチームが協働し、価値創造の取り組みを拡大します。

SDMの利点

より速い開発

SDMを実現するプラットフォームがなければ、さまざまなツールからバリューデリバリープロセス全体のビューを取得するには時間がかかる手作業が必要であり、デリバリーの妨げになるボトルネックや非効率的な箇所を見逃す可能性が高くなります。
いっぽう、ソフトウェアデリバリー管理プラットフォームを利用すると、最初に製品または機能のアイデアが発案されてから利用を最大化するまでの間、あらゆる成果物とツールのデータが共通データレイヤーに統合され、重要な情報に簡単にアクセスでき、ボトルネックと非効率性に関して前例のないレベルの洞察が提供されます。

より良いソフトウェア

SDMがなければ、ソフトウェア関連部署は、ビジネスのニーズに応える機能を開発する責任があるにもかかわらず、ビジネス要因や特定の顧客のニーズを洞察できません。いったん機能のデリバリーが完了した後は、営業関係者もソフトウェア関連部署も、ソフトウェアの利用状況や影響を可視化できません。これらの洞察がなければ、継続的な改善は不可能であり、結果として卓越したソフトウェアを提供することもできません。
ソフトウェアデリバリー管理を利用すると、CI / CDおよびDevOpsで確立された継続的なフィードバックループが拡張され、アイデア発案からユーザーの利用に至り、またアイデアに戻るループにすべての関係者が完全に包含されます。利用状況データが入ってくるに従って、機能フラグなどを使用して運用中のアプリケーションを微調整し、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができます。その結果、ソフトウェアはより迅速にデリバリーされるだけでなく、ビジネス目標や顧客のニーズをよりよく満たすようになります。

緊密なコラボレーション

ソフトウェアデリバリー管理がない場合、ほとんどの組織は、コミュニケーションの問題を回避するために大量のスプレッドシート、会議、長々と続くメールのやりとり、Slackメッセージを使用することになります。しかし、依然として営業側では開発はブラックホールであると感じているいっぽう、開発者は自分には何もコントロールできないと感じており、誰も本当にコラボレーションしているとは言えません。
ソフトウェアデリバリー管理を使用すると、すべての関係者がプロジェクトに関する情報を必要な形でリアルタイムで入手できます。 電子メールの返信を待ったり、スプレッドシートをくまなく調べて、意味のあるデータを探し回る必要はもうありません。関係者は継続的かつシームレスにコラボレーションできます。

CloudBeesのSDMソリューション

まず、CloudBees solution for SDMとして、製品ハブとバリューストリーム管理用のモジュールを含むSDMをサポートするプラットフォームが提供されます。 将来的に、ソリューションの発展に従ってモジュールが追加されます。CloudBees solution for SDMは、CloudBees Core、CloudBees Flowなどの既存の製品に代わるものではありません。これらの製品がSDMソリューションのモジュールになります。CloudBees solution for SDMの展開に伴って、お客様はSDMに向けて進化し続けることができます。

CloudBees solution for SDMは、以下のようなSDMの最も重要なニーズを現在または今後サポートします。

  • ただ1つの統合記録システム―CloudBees solution for SDMにより、さまざまなソフトウェア計画、開発、およびデリバリーツールにまたがる情報をキャプチャ、リンク、および相互参照できます。単一の統合記録システムの構築により、誰もが接続されたプロセスを介して最新のソフトウェアデリバリーステータスを参照し、必要なときに必要な情報を取得できます。
  • ワークフローエンジン―CloudBeesワークフローエンジンを使用すると、ソフトウェア開発に不可欠だが低価値のステップをすべて結び付けることができ、エンジニアは他の価値の高い創造的なプロジェクトにエネルギーを集中させることができます。
  • レコメンデーションエンジンCloudBeesのSDMツールは、機能フラグなどからのフィードバックと現実のデータに基づいて、ソフトウェアデリバリープロセスおよびソフトウェアが顧客のニーズをどれだけ満たしているかという点で、継続的で漸進的な改善を促進するインテリジェントなレコメンデーションを提供します。

さらに詳しく

この記事は、CloudBees社の以下の記事/ホワイトペーパーの内容の要約です。

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