Jenkins Day Japan 2018 開催のご報告


Jenkins Day 2018

今年も熱く盛り上がった「Jenkins Day Japan 2018」の様子をお伝えする、開催レポートを公開しました。

特別講師として、Jenkinsの開発者である川口耕介氏を始め、Jenkinsをリードするエンジニアをお招きし、DevOpsの実現のために企業がどのような取り組みを行うべきかをご講演いただきました。
講演資料のダウンロードもご案内しておりますので、ぜひご確認ください。
資料は、Session1、Session2が英文になっております。


Session1

大企業におけるDevSecOpsの変革

Experian Ltd
Moied Wahid氏

米PayPal社など、数社での DevSecOpsへの改革を行った実績を持つ、
Moied氏に講演いただきました。

「DevOpsの改革に向けて
強力なビジョンを描くこと、定量化することが大事」

DevSecOpsの実現のために企業がどのような取り組みを行うべきかという大きな観点と、開発プロセスを具体的にどのように変えたのか、という話を情熱的に語っていただきました。
ウォーターフォール型の開発を2年でアジャイルに変革したMoied氏。
「品質を担保したソフトウェアを早く届ける」というゴールを掲げ、サイクルタイム(ソースコードを開発してから、実際に配布されるまでの時間)を1日までに縮めるという無茶とも思える目標を設定し、DevSecOps改革を行った。目標を達成するためには、「ゴールにこだわる意識」、「高い目標に向かって進む勇気」、「岩にかじりつく頑張り」、そして大事なことは、定量化した結果を経営層・社内メンバーに発信すること、計れないものは改善できないと語るMoied氏。
企業レベルで継続的デリバリーを”文化的に”根付かせることは、とても大変なことであるが、一方でやりがいのある仕事である。シェアードサービスは、2軍のチームだと考えられていたが、シェアードサービスにこそ、自動化・生産性の情熱を持っている優秀な人材を配置するべきだと語るMoied氏の言葉に、大きく心を動かされました。

<参加者のコメントを抜粋>

「変化、改革には苦痛を伴う」「細分化してサイクルタイムの分析」この2点が参考となりました。
大企業での改善を通して、Jenkinsは一日して成らずというのを知れたので上層部にも伝えたい。
情熱を持った数人でCICDを始められるという言葉に勇気をもらいました。
DevOpsに対するビジョンの重要性や野心的な目標設定、そしてどうやってパイプラインを作り、継続的なデリバリー文化を作っていくかが伝わりました。
それぞれの階層の人にどのような言葉で伝えればいいのか、アプローチしていくべきかという点が一番記憶に残った。伝える事の重要性を改めて学びました。


Session2

こうしてDevOpsは大人になっていく
初期導入の後、DevOpsの取り組みをどのように拡大するか

ABN AMRO Bank N.V.
Stefan Simenon 氏

ABN AMRO Bank は、オランダで第3位の規模を誇る銀行です。
ABN AMRO社において CICDおよびクラウド ネイティブ開発を担当する
Stefan Simenon 氏に講演をいただきました

「ウォーターフォール開発からアジャイル開発への転換に成功
それは、成功体験の共有、経営者によるコミットメント」

従来は、ウォーターフォールモデル開発を行っており、頻繁なリリースの実現が課題だった。このままでは競合他社やFinTechを武器とした新興企業などに追い抜かれるという危機感から、2015年からDevOpsの実現に向けて取り組みをスタートし、金融機関にみられる官僚的なプロセスを、2年でDevOpsなプロセスに変革した旅路を語っていただきました。
アジャイルでの小さなパイロットプロジェクトからスタートし、そこでの成果を経営者層に共有。2016年には、CI/CDは全社的な戦略テーマの1つとして位置づけられるようになった。上位経営者層の人たちがこのような取り組みを理解し、コミットする必要があると語るStefan氏。
現在は、1,500人の開発者が利用するJenkins でのパイプラインを実現。さらなるスケールを可能にするための手法や今後の取り組みについてもお話しいただきました。
DevOpsの取り組みは、終わりのある旅路ではない。1歩進むために、2歩下がって、3歩進むこともある。失敗から学ぶという文化を組織に根付かせることが大事であり、「小さい改善を1つ1つ積み上げていく、必ずしも大きなジャンプをしなくてもよい」という言葉に、勇気づけられた方は多いのではないでしょうか。

<参加者のコメントを抜粋>

金融システムの様な固く保守的な文化を、汎用機も含めてアジャイルにしている事に驚かされました。
小規模で進めているためそれぞれの過程で適用すべきソリューションの情報がわかりやすく図示されており非常にためになった。
ソースのコミット~本番環境への動作時間の短縮について、まず各工程において可視化することが重要という発言が共感できました。
DevOpsの仕組みを導入した後のロードマップなど、参考になる事が多かった。
会社の取り組みとしてDevOpsが進まない中で、ヒントになる要素がちりばめられていた。まずはパイロットプロジェクトを決めてやってみて、わかりやすい言葉で上位層に説明できるようにしていきたいと思います。
技術だけではなく、取り組み方も変えてみるという点に、改めてさまざまな改革を起こしていく大切さを認識した。


Session3

段階的なCI(継続的インテグレーション)/CD(継続的デリバリー)の実現

テクマトリックス株式会社
酒井利治、橘祐史

テクマトリックスは、ソフトウェア開発分野において、ソフトウェアの品質管理・品質保証にかかわるツールやサービス、ソリューションの提供を行う企業です。CloudBees製品についてご紹介を行いました。

「CI/CD導入の第一歩を踏み出すために
 自社の状況に応じたJenkinsの活用を」

テクマトリックスからは、継続的インテグレーション/継続的デリバリーの導入の段階と施策、そしてテクマトリックスが提供するサービスについて講演しました。
CI/CD導入をしたいがどこから手をつけるべきか、CI/CDの素晴らしい効果はわかっていてもどのように実現するのか、といったお悩みに対して、CI/CD導入時に障害となる事象と、その解決策としてJenkinsソリューション「CloudBees Core」をご紹介しました。「CloudBees Core」 については、Kubernetes上で動作している様子をデモンストレーションにてご紹介。また、Jenkinsをこれから始める方に向けての「Jenkinsトレーニング」、自社の環境に合ったJenkinsを利用した「CI環境構築の支援サービス」を導入事例を含めてご紹介しました。
テクマトリックスは、お客様のビジネスに合わせて、テストツールや分析ツールを組み合わせた最適な開発環境をご提案可能です。「ソフトウェアの品質確保と開発時間の短縮を両立させる」といったお客様の課題がありましたら、ぜひ、テクマトリックスにご相談をください。

<参加者のコメントを抜粋>

講演の順番がセッション3⇒1⇒2の順の方がわかりやすかったかと思います。初心者には分かりやすかったです。
Jenkinsについてあまり詳しく知らなかったので参考になった。
段階の説明スライドは社内向け資料に流用できて助かります。
ある会社の事例を引き合いに、その効力を紹介していただけたのは、すごく参考になりました。
CI/CDの導入の為の段階的なやり方が良く分かりました。Cloudbees Coreの仕組みもよく分かりました。
Cloudbees Coreのデモを見て、非常に魅力的だと思った。


Session4

 「DevOpsを前進させるCloudBeesの取り組み」

CloudBees, Inc. Chief Technology Officer
川口耕介 氏

昨年のJenkins Day Japan 2017 に引き続き、
Jenkinsの生みの親、CloudBees社 CTO 川口耕介 氏に講演をいただきました。

「あらゆる産業のあらゆる企業がソフトウェア産業になっていく
 ソフトウェアが世界を席捲する」

昨今、さまざまな業界(製造業・金融業・公共機関など)で起こっているソフトウェアによる改革の意味すること、それを軽視することによるビジネスリスク、そしてCloudBees社として、どのようにソフトウェア産業を支援していくかを、川口氏の持つ大きなビジョンとその想いをJenkinsという枠を超えて、静かに熱く語っていただきました。
エンジニアリングのためのエンジニアリングに投資を行うことで、2段階でビジネスにテコが効くという事例の紹介など、開発者に自動化の仕組みを提供するという文化を創っていくことや、既存の開発プロセスの改善を見直すことで、他の会社が追い付けないようなソフトウェア開発を実現できると語る川口氏、考えさせられる講演となっていたのではないでしょうか。

<参加者のコメントを抜粋>

簡単には書けないくらい、思うことがあり、Jenkinsを超えて考えさせられました。
体に熱が入った気がした。チェンジエージェントとして具体的な「形」にしたいと思いました。熱が冷めない内に。
Jenkinsありきではなく問題ベースで考え大きなヴィジョンを示してくださるので、安心してJenkinsを使い続けられます。
すべての企業はソフト会社になる、という話はとてもおもしろいと思いました。
今後の日本の産業の発展まで考えている事に感動した。
様々なツール、サービス、仕組み等を生産性向上のために必要と思っていても、思うようにできず、もどかしく感じていましたが、自分の情熱や努力も足りていないことを実感しました。自分の会社でどのように進めていくかをしっかり考えていきたいと強く感じました。
エンジニアリングの為のエンジニアリング。世の中の業務がどんどんIT化しているのに、ITがIT化してなかったのかも。確かにここに投資してない会社はダメになるかもしれないですね。


大盛況で終えることのできた Jenkins Day Japan 2018 でした。
テクマトリックスでは、今後もこのようなイベントを開催してまいります。
今回ご参加いただいた方も、今回は都合が合わなかった方も、次の機会には是非ご参加ください!